鎧武 14話 ヘルヘイムの果実の秘密 感想

 怪人化した人間と闘う葛藤をこれだけ、印象的に取り上げたライダーは始めてかもしれませんね。
 過去にも、オルフェノクやファンガイアなど、知性と人格を持つ人間に近い怪人はいましたけど、人を襲う相手である以上は倒すというのが一貫したライダー側姿勢だったと多います。
 ファンガイアは、まあ人を食べるという生物だから、倒さなければならないと結論するのはいいですけど、オルフェノクは人を襲う習性はあるものの、必要な行為とは違うし、要はDQNなだけとも言えるわけですから、鎧武のケースより、より人殺しに近い感覚と捉えてもいいように思いますが、そこはあまり深く踏み込んでなかったと思います。
 自分に大義があるとしても、普通の人間の感覚だと、生命をたやすく奪えたりはしませんよね
 知人とあらば尚更。紘汰の葛藤は容易に想像のできるものです。
 インベス化した初瀬の場合、知性は全く無くしていたようだし、外見的には怪人のままなのに、紘汰はその姿に人間の初瀬の姿を重ねて迷いを捨てきれないという演出がされてましたね。
 一旦、紘汰の前で人の姿に戻った事もフリとして効いています。
 僅かな希望を見た分、最後まで知性を取り戻せずに怪人として倒されていった姿は悲惨でした。

 闘いの中、「俺達は今何をやってる」という自問も、2話辺りの浮かれぶりと対比して見ると、やりきれない観増しますね
 初瀬インベスを追い詰め、止めを刺す段になって、俺に人殺しなんか出来ないと慟哭するシーンに挟まれるのが、実は行方不明になっていた親友を、それと知らず自分が手にかけていたという事実。
 怪人化した相手をを傷つけるだけで、これだけ煩悶しているのに、繋がりの深い友人の命を奪っていたという事実を知ったとしたらどれだけ絶望するだろうかと恐ろしく感じます。

 ライダーになった経緯は必要に迫られたもので、軽いものでもなかったのに、そこにこれほどの悲劇が隠されていたとは思いもしませんでした。

 ミッチがこの事実を、知らせるのか、或いは他の者によってかも知れませんが、どう明かされるかというのも興味深い所です。

 初瀬の死やインベスゲームを仕組まれたことのように、ユグドラシルに敵意が向くなら、立ち向かうことも出来るかもしれませんが、責任が自分に向かうことである以上、受ける精神的なダメージが計り知れません。
 
 いずれ重要な場面で明かされると思いますが、それをどう受け止め、どう越えていくのかはキーポイントとなりそうです。

 ここ2話で、権力に社会的に凹まされるライダーの図という珍しい展開が見られましたが、予告を見る限り来週は少しばかり反抗に出る場面があるようです。
 この絶望的な状況にどう抗うのかは見所ですね
 鬱展開が続きましたが、話の深みとドラマ性はグンと上がったようで今後が増々楽しみです。
 

 蛇足なツッコミは承知ですが、事の最初から気になってたんで言わせて下さい。
 ウィザード特別編でゲスト参戦した鎧武は戦場の真っ只中に呼ばれて、あまり逡巡も見せず、その場の怪人たちを撫で斬りにしていってましたけど、あれはあの世界で普通に暮らしてた人達だと知ったら、やっぱり、後悔に泣きわめくことになるんでしょうか。
 あれが実は、本編における鎧武が背負った罪を暗喩していたものだったのだ、としたら感心しますが、まあ、関係ないのででしょうね。


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Posted by maskedo